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1732
この場所が、紡ぐもの。

奄美大島の北部にのびる手広海岸。広大な太平洋から打ち寄せる高波が、永い時間をかけて島に美しい海岸線を刻み、その波は今も、朝陽のなかで白く輝き、日が沈むと月夜に照らされ銀色の世界を広げていきます。大島紬の代表的な柄とされる龍郷柄も、この地に暮らす図案師が、月を眺めていた夜に生まれた柄だと伝えられています。白から銀へと移り変わる海は、今も昔も人を魅了し、風土を育み、文化へと昇華されてきたのかもしれません。

Auberge Tebiro 1732は、手広の海と奄美大島のゆたかな自然のなかに息づく風土や文化を交叉させ、明日へと紡ぎ続けるための結節点。奄美の食材を、モダン・フレンチの技法と解釈によってよりゆたかなニュアンスを持つ体験へと磨き上げることで、この島の生産者や伝統文化の担い手たちとともに、新しい循環を生み出していきます。奄美の米を食すことで渡り鳥の休息の場である水田が守られ、野菜やフルーツを味わうことで地域の人々の営みが勇気づけられ、紬をアートとして再評価することで作り手たちに新しいインスピレーションが生まれていく。ここを訪れるゲストの皆様にも、そのような循環の紡ぎ手の一人として、料理やワイン、地酒とともに一層深い時間の味わい方をお愉しみいただけたら幸いです。

所在地である“1732番地”をオーベルジュの名に刻むことは、変わることのないこの海の景観のように、島の営みを絶やすことなく未来へつないでいくという決意の表現でもあります。この場所で出会う一人ひとりとともに、いくつもの喜びを紡ぎ続けていくことが、私たちの願いです。